本文へskip
Yonezawanote
数字で見る米沢

市立病院のお金に、何が起きているのか

2023年に新しくなった米沢市立病院。いま累積の赤字は約126億円、資本は債務超過です。数字を追うと、米沢だけの問題ではないことも見えてきました。

2026年8月21日読むのに9分くらい数字は2026年8月21日時点

いま米沢でいちばん関心が集まっているのが、市立病院のことだと思います。 ニュースでも「経営に黄色信号」という言い方を見かけました。

数字を並べます。大きい数字が続くので、順番に見ていってください

1|まず、どんな病院か

米沢市立病院

病床
263
診療科
31
新病院の開院
2023年11月
2023年11月1日に新しい建物で開院。同じ敷地に民間の三友堂病院が移り、市立病院が救急や重症、三友堂病院がリハビリや地域包括ケアを担う形になりました。出典:米沢市立病院 公式サイト/日経BP「市立病院の敷地に民間病院が引っ越し、米沢市」

2|収支はこうなっています

純損益の推移

年度純損益
令和4年度+約0.3億円(黒字)
令和5年度▲約13.8億円
令和6年度▲約15.5億円
令和4年度は黒字でしたが、新病院の開院前後から赤字が続いています。出典:米沢市立病院 経営状況・事業報告書

2年つづけて10億円を超える赤字です。積み上がったものが、次の数字になります。

積み上がったもの(令和6年度末)

累積欠損金
126.4億円
債務超過
30.7億円
一般会計からの繰入金
10.3億円
令和6年度
累積欠損金は、これまでの赤字の合計。債務超過は、資産より負債が多い状態です。出典:米沢市立病院 事業会計決算(令和6年度)

3|どこが計画とずれているのか

市立病院は「経営強化プラン(令和6〜9年度)」という計画を持っていて、 そこに目標の数字が書かれています。実績と並べるとこうです。

計画の目標と、いまの実績

指標いま計画の目標
病床稼働率85.4%92%以上
経常収支比率85.4%100%以上
医業収支比率87.3%91%以上
経常収支比率は100%で収支がつり合う、という見方をします。出典:米沢市立病院 経営強化プラン/経営状況・事業報告書

3つとも目標に届いていません。計画では、純損益を令和6年度の▲15.7億円から、 令和9年度に+0.06億円へ持っていくことになっています。 そのうえで、収支改善と債務超過の解消を経て地方独立行政法人化を目指すと明記されています。

4|議会は、決算を認めませんでした

令和5年度決算は「不認定」に

  1. 2024年9月27日

    令和5年度の市立病院事業会計決算を、本会議で全会一致により不認定

  2. 指摘されたこと

    ①計画性・予算管理の問題 ②予算に定めのない項間の流用など、恒常的な会計処理の不備 ③再発防止策の不十分さ

  3. 市の対応

    複数職員によるチェック体制、会計専門職の採用などの措置を公表

決算の不認定は珍しい議決です。しかも全会一致でした。出典:米沢市議会 令和6年9月定例会 議決結果

5|資金繰りの話

赤字とは別に、手元の現金が足りるかという話があります。これを資金不足といいます。

令和7年12月の市議会で、市立病院の事務局長がこう答弁しています。

当院としましては今年度資金不足が約8億円程度見込まれております。 このため本事業債の発行を希望し、現在準備を進めているところでございます。

ここでいう「本事業債」は、令和7年度に国が新しくつくった病院事業債(経営改善推進事業)のことです。 経営改善に取り組む公立病院の資金繰りを支えるためのもので、借りたお金は15年かけて返します。

6|何が原因なのか

市の資料では、赤字の要因として新病院関連の経費・人件費・物価高が挙げられています。

「新しい病院を建てたせいだ」という言い方も見かけますが、 建物だけを原因と書いている資料は見つけられませんでした。 人件費も物価も、全国的に上がっています。

資料に挙げられている要因

  • 新病院関連経費3
  • 人件費の増3
  • 物価高3
  • 病床稼働率の伸び悩み2
どれか1つではなく、複数が重なっている、という書かれ方をしています。出典:米沢市立病院 経営状況・事業報告書

※ 上の図は「資料に挙げられている」という事実を並べたもので、 それぞれが赤字のうち何億円ぶんかを示すものではありません。金額の内訳は公表資料からは分けられませんでした。

7|これから何を見ればいいか

次に確かめるポイント

見るものどこでいつ
経営強化プランの目標に近づいたか市立病院の経営状況ページ年度ごと
決算が認定されるか市議会の議決結果毎年9月定例会
一般会計からの繰入金の額市の当初予算・決算毎年3月・9月
地方独立行政法人化の議論市議会の会議録随時
どれも市立病院と市議会の公開資料で追えます。

この話でよく見かける言い方については、「まちの話題と、確かめたこと」にも整理しています。

この記事が見たもの出典 6 件。ここに書いた事実は、すべてこの資料から取っています
  1. 1.米沢市立病院 経営状況・事業報告書純損益、累積欠損金、債務超過、各指標、経営強化プランの目標。この記事の数字の多くはここからです。
  2. 2.米沢市立病院 建替基本構想
  3. 3.米沢市議会 議案・議決結果(令和6年9月定例会)令和5年度決算の不認定。
  4. 4.米沢市議会 令和7年12月定例会 会議録令和7年12月11日、市立病院事務局長の答弁(資金不足約8億円、病院事業債の発行準備)。
  5. 5.日経BP「市立病院の敷地に民間病院が引っ越し、米沢市」同一敷地での機能分担の経緯。
  6. 6.総務省 公立病院経営強化ガイドライン全国の公立病院に共通する制度の枠組み。

リンク先は米沢市など、それぞれの発行元の公式ページです。 このノートの書き方に納得がいかないときほど、こちらを直接見てみてください。

ほかのよみもの

ぜんぶ見る