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まちの出来事を読みとく

「全会一致」ばかりの市議会で、意見が分かれた28件を並べてみました

3年ぶんの議案594件のうち、賛否が分かれたのはたった28件。少ないのには、ちゃんと理由がありました。そしてその28件に、いまの米沢の論点がぎゅっと詰まっていました。

2026年8月21日読むのに8分くらい数字は2026年8月21日時点

米沢市議会のページに、議案の議決結果がずらっと載っているのを見つけました。令和5年度から令和7年度まで、3年ぶん。数えてみたら594件ありました。

結果だけを取り出して表にしてみると、あることに気づきます。ほとんどの議案が「全会一致」で通っている。 賛否が分かれたのは、594件のうち28件だけでした。

3年間の議案594件のうち、意見が分かれたのは28件

3年間の議案
594
全会一致だったもの
566
全体の95.3%
意見が分かれたもの
28
全体の4.7%
「意見が分かれた」=本会議での議決が全会一致にならず、起立採決などで賛成多数・賛成少数となったもの。出典:米沢市議会 公式「議案・議決結果」(令和5〜7年度)

4.7%。100件に5件くらいです。最初は「え、議会って議論する場所じゃないの?」と思いました。でも調べていくと、これは米沢がおかしいのではなくて、市議会という仕組みそのものの性質だとわかってきます。

そもそも、市議会には「与党と野党」がありません

国会だと、与党と野党がぶつかる構図をニュースでよく見ます。でも市町村議会は、それとは仕組みが違います。

市長も、議員も、どちらも市民が直接選挙で選びます。これを二元代表制といいます。市長は議員の中から選ばれるわけではないので、 「議会の多数派=市長の味方」という関係が、そもそも構造として存在しないんです。

国のかたちと、市のかたちはちがう

国(議院内閣制)

国民 → 国会議員を選ぶ
国会議員 → その中から総理大臣を選ぶ

多数派=与党。だから「与党 vs 野党」になる

市(二元代表制)

市民 → 市長を選ぶ
市民 → 市議会議員も選ぶ

どちらも市民が直接選ぶ。上下でも敵味方でもない

市長を選ぶのも、議員を選ぶのも市民。だから「与党/野党」という言い方が、市議会にはなじみません。

もうひとつ。市議会にかかる議案の多くは、道路の工事の契約だったり、国の法律が変わったので条例の文言を直します、というものです。 賛成も反対もなく、粛々と通すのが当たり前のものが、けっこうな割合を占めています。

分かれた28件は、どこに集まっていたか

28件を分類ごとに数えてみると、きれいに偏っていました。

意見が分かれた28件は、どんな種類の議案だったか

  • 予算9
  • 決算の認定8
  • 条例5
  • 意見書・決議3
  • 請願2
  • 契約1
予算と決算だけで17件。全体の6割です。出典:米沢市議会 公式「議案・議決結果」(令和5〜7年度)

いちばん多いのが予算(9件)決算の認定(8件)。 あわせて17件で、28件の6割です。

考えてみれば当たり前かもしれません。予算は「来年、税金をどう使うか」の一覧です。 条例の文言を直す議案とちがって、まちの方向そのものが入っている。だから判断が割れる。

たとえば令和8年3月に、令和8年度の一般会計予算(465億9,000万円)が採決されたときは、賛成16・反対7でした。同じ日に採決された後期高齢者医療費特別会計の予算は賛成17・反対6。24人の議員のうち、6〜7人が反対に回っています。

令和8年度の予算は、こう割れた

議案内容賛成反対
議第41号令和8年度 一般会計予算(465億9,000万円)167
議第27号令和8年度 後期高齢者医療費特別会計予算(13億7,771万8,000円)176
賛成・反対の人数は、米沢市議会が公表している「議員別賛否表」に基づく事実です。誰が正しかったかを判定するものではありません。出典:米沢市議会 公式「議員別賛否一覧」(令和8年3月定例会)

いちばん珍しいのは「否決された2件」

28件のうち26件は「賛成多数」、つまり割れながらも可決されています。 逆に賛成が少数で通らなかったのは、3年間でたった2件でした。

3年間で「通らなかった」のはこの2件だけ

いつ何が結果
令和6年6月定例会請願第3号 健康保険証を廃止せず存続を求める国への意見書提出方請願不採択(賛成少数)
令和5年6月定例会発議第5号 一般会計補正予算(第3号)に対する附帯決議原案否決(賛成少数)
請願は市民や団体が議会に出す要望書、発議は議員が出す議案です。どちらも通れば議会の意思になります。出典:米沢市議会 公式「議案・議決結果」

逆に、市民から出た請願が採択された例もありました。令和6年9月定例会の請願第5号「(仮称)栗子山風力発電事業の白紙撤回を求める請願」です。 こちらは賛成多数で採択されています。

請願は、市民や団体が「議会としてこう言ってほしい」と出す文書です。 議員だけでなく、外から議会を動かせる仕組みがちゃんとある。それが数字として残っていました。

3年ぶんを時系列に並べると

28件がいつ出たのかを会期ごとに数えると、こうなります。

意見が分かれた議案は、いつ出たか

  • 令和5年6月2
  • 令和5年9月3
  • 令和5年12月1
  • 令和6年3月4
  • 令和6年6月1
  • 令和6年9月6
  • 令和6年12月1
  • 令和7年3月3
  • 令和7年9月2
  • 令和8年3月5
9月と3月に山ができます。9月は前の年度の決算を認定する会期、3月は次の年度の予算を決める会期です。出典:米沢市議会 公式「議案・議決結果」(令和5〜7年度)

山ができるのは9月と3月です。9月は前の年度の決算を認定する会期、 3月は次の年度の予算を決める会期。つまりお金の話をする会期に、意見が割れている

これは、市議会を見に行くタイミングの目安にもなります。 1年じゅう追いかけるのは大変ですが、9月と3月だけでも押さえると、そのまちの論点はだいたい見えてくる。 少なくとも米沢の3年間は、そういう形をしていました。

自分で確かめたいときは

ここに書いた数字は、米沢市議会の公式サイトに載っているものを数え直しただけです。 「議案・議決結果」のページに会期ごとの一覧があり、意見が分かれた議案については誰が賛成して誰が反対したかまで、議員別賛否表というPDFで公開されています。

次は、いちばん新しい会期(令和8年3月定例会)の中身をぜんぶ読んでみます。そちらの記事はこちらです

この記事が見たもの出典 3 件。ここに書いた事実は、すべてこの資料から取っています
  1. 1.米沢市議会 議案・議決結果(令和5〜7年度)594件の議案と議決結果。会期ごとに一覧があります。
  2. 2.米沢市議会 公式サイト議員別賛否一覧のPDFは、各会期のページからたどれます。
  3. 3.総務省「地方自治制度の概要」二元代表制の説明はここを参照しました。

リンク先は米沢市など、それぞれの発行元の公式ページです。 このノートの書き方に納得がいかないときほど、こちらを直接見てみてください。

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