「全会一致」ばかりの市議会で、意見が分かれた28件を並べてみました
3年ぶんの議案594件のうち、賛否が分かれたのはたった28件。少ないのには、ちゃんと理由がありました。そしてその28件に、いまの米沢の論点がぎゅっと詰まっていました。
米沢市議会のページに、議案の議決結果がずらっと載っているのを見つけました。令和5年度から令和7年度まで、3年ぶん。数えてみたら594件ありました。
結果だけを取り出して表にしてみると、あることに気づきます。ほとんどの議案が「全会一致」で通っている。 賛否が分かれたのは、594件のうち28件だけでした。
\ 3年間の議案594件のうち、意見が分かれたのは28件 /
- 3年間の議案
- 594件
- 全会一致だったもの
- 566件
- 全体の95.3%
- 意見が分かれたもの
- 28件
- 全体の4.7%
4.7%。100件に5件くらいです。最初は「え、議会って議論する場所じゃないの?」と思いました。でも調べていくと、これは米沢がおかしいのではなくて、市議会という仕組みそのものの性質だとわかってきます。
そもそも、市議会には「与党と野党」がありません
国会だと、与党と野党がぶつかる構図をニュースでよく見ます。でも市町村議会は、それとは仕組みが違います。
市長も、議員も、どちらも市民が直接選挙で選びます。これを二元代表制といいます。市長は議員の中から選ばれるわけではないので、 「議会の多数派=市長の味方」という関係が、そもそも構造として存在しないんです。
\ 国のかたちと、市のかたちはちがう /
国(議院内閣制)
国民 → 国会議員を選ぶ
国会議員 → その中から総理大臣を選ぶ
多数派=与党。だから「与党 vs 野党」になる
市(二元代表制)
市民 → 市長を選ぶ
市民 → 市議会議員も選ぶ
どちらも市民が直接選ぶ。上下でも敵味方でもない
もうひとつ。市議会にかかる議案の多くは、道路の工事の契約だったり、国の法律が変わったので条例の文言を直します、というものです。 賛成も反対もなく、粛々と通すのが当たり前のものが、けっこうな割合を占めています。
分かれた28件は、どこに集まっていたか
28件を分類ごとに数えてみると、きれいに偏っていました。
\ 意見が分かれた28件は、どんな種類の議案だったか /
- 予算9件
- 決算の認定8件
- 条例5件
- 意見書・決議3件
- 請願2件
- 契約1件
いちばん多いのが予算(9件)と決算の認定(8件)。 あわせて17件で、28件の6割です。
考えてみれば当たり前かもしれません。予算は「来年、税金をどう使うか」の一覧です。 条例の文言を直す議案とちがって、まちの方向そのものが入っている。だから判断が割れる。
たとえば令和8年3月に、令和8年度の一般会計予算(465億9,000万円)が採決されたときは、賛成16・反対7でした。同じ日に採決された後期高齢者医療費特別会計の予算は賛成17・反対6。24人の議員のうち、6〜7人が反対に回っています。
\ 令和8年度の予算は、こう割れた /
| 議案 | 内容 | 賛成 | 反対 |
|---|---|---|---|
| 議第41号 | 令和8年度 一般会計予算(465億9,000万円) | 16 | 7 |
| 議第27号 | 令和8年度 後期高齢者医療費特別会計予算(13億7,771万8,000円) | 17 | 6 |
いちばん珍しいのは「否決された2件」
28件のうち26件は「賛成多数」、つまり割れながらも可決されています。 逆に賛成が少数で通らなかったのは、3年間でたった2件でした。
\ 3年間で「通らなかった」のはこの2件だけ /
| いつ | 何が | 結果 |
|---|---|---|
| 令和6年6月定例会 | 請願第3号 健康保険証を廃止せず存続を求める国への意見書提出方請願 | 不採択(賛成少数) |
| 令和5年6月定例会 | 発議第5号 一般会計補正予算(第3号)に対する附帯決議 | 原案否決(賛成少数) |
逆に、市民から出た請願が採択された例もありました。令和6年9月定例会の請願第5号「(仮称)栗子山風力発電事業の白紙撤回を求める請願」です。 こちらは賛成多数で採択されています。
請願は、市民や団体が「議会としてこう言ってほしい」と出す文書です。 議員だけでなく、外から議会を動かせる仕組みがちゃんとある。それが数字として残っていました。
3年ぶんを時系列に並べると
28件がいつ出たのかを会期ごとに数えると、こうなります。
\ 意見が分かれた議案は、いつ出たか /
- 令和5年6月2件
- 令和5年9月3件
- 令和5年12月1件
- 令和6年3月4件
- 令和6年6月1件
- 令和6年9月6件
- 令和6年12月1件
- 令和7年3月3件
- 令和7年9月2件
- 令和8年3月5件
山ができるのは9月と3月です。9月は前の年度の決算を認定する会期、 3月は次の年度の予算を決める会期。つまりお金の話をする会期に、意見が割れている。
これは、市議会を見に行くタイミングの目安にもなります。 1年じゅう追いかけるのは大変ですが、9月と3月だけでも押さえると、そのまちの論点はだいたい見えてくる。 少なくとも米沢の3年間は、そういう形をしていました。
自分で確かめたいときは
ここに書いた数字は、米沢市議会の公式サイトに載っているものを数え直しただけです。 「議案・議決結果」のページに会期ごとの一覧があり、意見が分かれた議案については誰が賛成して誰が反対したかまで、議員別賛否表というPDFで公開されています。

次は、いちばん新しい会期(令和8年3月定例会)の中身をぜんぶ読んでみます。そちらの記事はこちらです。
この記事が見たもの出典 3 件。ここに書いた事実は、すべてこの資料から取っています
- 1.米沢市議会 議案・議決結果(令和5〜7年度)594件の議案と議決結果。会期ごとに一覧があります。
- 2.米沢市議会 公式サイト議員別賛否一覧のPDFは、各会期のページからたどれます。
- 3.総務省「地方自治制度の概要」二元代表制の説明はここを参照しました。
リンク先は米沢市など、それぞれの発行元の公式ページです。 このノートの書き方に納得がいかないときほど、こちらを直接見てみてください。

