米沢市のお金、465億円はどこから来て、どこへ行くのか
市民ひとりあたりに直すと約64万円。そのうち市税でまかなえているのは4分の1だけでした。まちのお金の全体像を、いちどぜんぶ図にしてみます。
令和8年度の米沢市の一般会計予算は、465億9,000万円です。
……と言われても、たぶん何も分かりませんよね。僕も分かりませんでした。 なので、どこから来て、どこへ行くのかを順番に見ていきます。
1|まず、ひとりあたりに直してみる
\ 465億円を、市民の人数で割ると /
- 一般会計(令和8年度当初)
- 465.9億円
- 米沢市の人口
- 72,721人
- ひとりあたり
- 約64万円
4人家族なら、年間250万円ぶん。それだけのお金が、自分の名前では動いていないけれど、 自分のまわりで使われているということになります。
2|お金はどこから来るのか
ここがいちばん驚いたところでした。 「市のお金=市民が払った市税」だと思っていたのですが、まったく違います。
\ お金の入り口(令和6年度当初予算・約440億円) /
- 市税105億円
- 地方交付税77億円
- 国庫支出金68億円
- 繰入金(貯金)38億円
- 県支出金34億円
- 市債(借金)27億円
- 諸収入25億円
- 地方消費税交付金21億円
- 寄附金(ふるさと納税)20億円
- その他24億円
ふるさと納税がよく話題になるのも、これが理由です。市が自由に使えるお金を増やせる、数少ない手段だからです。 国からの交付金は使いみちが決められていることが多く、市の実情に合わないこともある—— 市長も議会でそう説明していました。
3|見えているのは、一部分だけ
ここも大事なところです。465億円は「一般会計」だけの数字です。 市のお金には、これとは別の財布があります。
\ 一般会計の外側にある「もうひとつの財布」 /
| 会計 | 年間の歳出(令和5年度) | 何のお金か |
|---|---|---|
| 介護保険事業 | 約87.6億円 | 介護サービスの給付 |
| 国民健康保険事業 | 約76.4億円 | 自営業者などの医療費 |
| 後期高齢者医療 | 約10.2億円 | 75歳以上の医療(県単位の広域連合へ) |
高齢化が進むと、この3つは自然に増えていきます。 そして足りないぶんは、一般会計から補われることがあります。465億円だけを見ていると、この動きが見えません。
4|いま、財政はどういう状態か
市議会では、財政についてこういうやりとりがありました。数字はすべて会議録に残っています。
\ 市議会で語られた、財政の現状 /
| 言われていること | 中身 |
|---|---|
| 経常収支比率 97〜99% | 決まった収入のうち、決まった支出でほぼ埋まっている状態。自由に使える余地が少ない |
| 実質単年度収支が令和13年度まで赤字見込み | 8年連続。貯金の取り崩しを前提にした構造が続く |
| 財政健全化計画のとき、財政調整基金は約13億円まで減った | 3年連続の赤字が続いたあとの水準 |
| 令和6年度も7.1億円の赤字 | 市の答弁より |
5|だから、あの議論になった
ここまで見てくると、2026年に揉めた統合中学校の開校延期の話が、なぜあんなに難しかったのかが分かってきます。
自由に使えるお金がほとんどなく、赤字が続く見込みで、貯金を取り崩している。 そこに「体育館のエアコン」と「新しい中学校」という、どちらも必要なものが同時に来た。
市は「同時には無理」と判断し、議会は「決めた順番を守れ」と返した。お金の全体像を知っていると、あの対立の見え方が変わります。

6|自分で見にいくなら
米沢市は、予算の資料を公式サイトで公開しています。 いちばん読みやすいのは「当初予算の重点事業等説明書」で、 その年に何にいくら使うのかが、事業ごとに書いてあります。
全部読む必要はありません。気になる分野——学校、除雪、観光、子育て——のところだけ開いてみると、 「あ、これにこの金額が付いているんだ」というのが見えてきます。
この記事が見たもの出典 5 件。ここに書いた事実は、すべてこの資料から取っています
- 1.米沢市 令和8年度当初予算総額465億9,000万円。議会での可決は令和8年3月24日。
- 2.米沢市 令和7年度当初予算 重点事業等説明書事業ごとの金額はこの形式で公開されています。
- 3.米沢市の統計人口と、財政の時系列。
- 4.米沢市議会 令和8年3月定例会 会議録経常収支比率、実質単年度収支の見込み、財政調整基金の水準についての質疑と答弁。
- 5.総務省 地方財政状況調査(決算カード)自治体ごとの財政指標を横に比べたいときはここ。
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