除雪に20億円かかった年と、5億円で済んだ年
米沢でいちばん身近な行政サービスは、たぶん除雪です。その費用が年によって4倍ちがう、ということを知っていますか。数字を並べると、雪国の予算の組み方が見えてきました。
米沢に住んでいて、いちばん「行政っぽいもの」を感じるのは、たぶん冬の朝です。 道が開いているかどうかで、その日がぜんぶ変わります。
その除雪に、市がいくら使っているか。調べてみたら、思っていたよりずっと大きくて、しかも年によってまるで違いました。
1|年によって、4倍ちがう
\ 除雪にかかった費用(年度ごと) /
- 令和3年度16億円
- 令和5年度5.3億円
- 令和6年度20億円
令和6年度は約20億円規模。市の答弁では「過去最大」とされています。 一方、令和5年度は約5億3,249万円でした。
令和3年度は、当初予算に7億円を組んで、あとから補正で9億円を足して合計16億円。当初予算だけでは、まったく足りていません。
2|これが財政にどう効くか
20億円という金額が、市の財政のなかでどれくらいの重さなのか。並べてみます。
\ 除雪費20億円は、どれくらいの大きさか /
- 一般会計(令和8年度)
- 465.9億円
- 市税(令和6年度当初)
- 105億円
- 除雪費(令和6年度)
- 約20億円
令和7年3月の市議会では、予算特別委員会からこういう意見が出ていました。
米沢市の財政は歳出超過と歳入不足の状態にあり、財政調整基金の取崩し額は、令和6年度36億円、 令和7年度38億円と増えている。これに除雪事業費8億円が加わり、令和6年度末の残高が約10億円まで 減少する見通しである。もし、令和7年度に災害が起これば、市の貯金は枯渇するおそれがある。
雪が多い年は、それだけで市の貯金がごっそり減ります。お金の全体像の話とつながるところです。
3|除雪しているのは、市の職員ではありません
これは僕が勘違いしていたところです。実際に除雪車を動かしているのは、民間の事業者です。
\ 誰が除雪しているのか /
| 数 | |
|---|---|
| 委託業者 | 38社 |
| 下請事業者 | 19社 |
| 除雪オペレーター | 約360名 |
360人が、夜中から朝にかけて動いています。ここに気づいてから、 冬の朝に道が開いているのが、少し違って見えるようになりました。
4|雪が降らない年にも、お金がかかる
ここがいちばん面白かったところです。
令和5年度は雪が少ない年でした。除雪の出動が減ると、事業者の売上が減ります。 すると、機械も人も維持できなくなります。翌年に大雪が来たとき、動かせる体制がなくなってしまう。
そこで市は「除雪補償料」という仕組みを持っています。 雪が少なくても、体制を残しておくために支払うお金です。
\ 令和5年度(少雪の年)の内訳 /
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 除排雪業務委託料(実際の作業) | 約3億1,103万円 |
| 除雪補償料(体制の維持) | 2億2,146万円 |
| 合計 | 5億3,249万円 |
5|GPSを入れて、どうなったか
市は除雪車にGPSを載せて、作業時間にもとづいて精算するシステムを導入しました。 令和8年3月の市議会で、その効果が問われています。
\ システム導入の効果(市の答弁より) /
| 観点 | どうなったか |
|---|---|
| 市民からの苦情 | 減少した |
| 経費の削減 | 令和6年度は大雪と導入初年度が重なり、効果を出せなかった |
| 事務の負担 | 不具合対応やデータ修正で、むしろ増えた |
| 事業者からの声 | システム不具合、GPSエラー、回送時間の扱い、資金繰りへの影響 |
建設部長はこう答弁しています。
令和6年度は除雪対策事業費が約20億円規模に達する大雪であったことに加え、システム導入初年度であったことや、 不具合対応やデータ修正作業が多く発生し、事務処理に要する時間が増加した
効果が出なかった理由を、市がきちんと説明しているのは良いことだと思います。 「苦情は減ったが経費は減らなかった」——どちらも事実として並んでいます。

6|自分たちでやる仕組みもあります
市には「地域の支え合いによる除排雪事業」という補助金があります。 地域の団体が除雪機を動かすときの燃料費、スコップやヘルメットの購入、雪下ろし講習会などに、1団体あたり10万円を上限に補助が出ます。
令和元年度から3年間のモデル事業を経て、本格運用になったものです。 参加した団体からは「予定している経費はしっかり支援してほしい」「関係書類の作成に係る事務量が多い」 といった声も出ています。
除雪についてよく見かける言い方は、「まちの話題と、確かめたこと」にも整理しています。
この記事が見たもの出典 4 件。ここに書いた事実は、すべてこの資料から取っています
- 1.米沢市議会 令和8年3月定例会 会議録2026年3月2日の一般質問。除雪管理システムの効果についての質疑と建設部長の答弁、令和6年度の約20億円。
- 2.米沢市議会 会議録(令和4年6月・令和6年6月・令和7年3月定例会)委託業者38社・下請19社・オペレーター約360名、令和5年度の内訳(除雪補償料2億2,146万円ほか)、財政調整基金の取崩し見通し。
- 3.米沢市 除雪に関するページ除雪の路線区分や、地域の支え合いによる除排雪事業の案内。
- 4.米沢市 当初予算一般会計と市税の額。
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