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数字で見る米沢

除雪に20億円かかった年と、5億円で済んだ年

米沢でいちばん身近な行政サービスは、たぶん除雪です。その費用が年によって4倍ちがう、ということを知っていますか。数字を並べると、雪国の予算の組み方が見えてきました。

2026年4月24日読むのに8分くらい数字は2026年4月24日時点

米沢に住んでいて、いちばん「行政っぽいもの」を感じるのは、たぶん冬の朝です。 道が開いているかどうかで、その日がぜんぶ変わります。

その除雪に、市がいくら使っているか。調べてみたら、思っていたよりずっと大きくて、しかも年によってまるで違いました。

1|年によって、4倍ちがう

除雪にかかった費用(年度ごと)

  • 令和3年度16億円
  • 令和5年度5.3億円
  • 令和6年度20億円
令和5年度は少雪、令和6年度は連続した降雪でした。同じ市の同じ仕事なのに、この差です。出典:米沢市議会 会議録(建設部長答弁)

令和6年度は約20億円規模。市の答弁では「過去最大」とされています。 一方、令和5年度は約5億3,249万円でした。

令和3年度は、当初予算に7億円を組んで、あとから補正で9億円を足して合計16億円。当初予算だけでは、まったく足りていません。

2|これが財政にどう効くか

20億円という金額が、市の財政のなかでどれくらいの重さなのか。並べてみます。

除雪費20億円は、どれくらいの大きさか

一般会計(令和8年度)
465.9億円
市税(令和6年度当初)
105億円
除雪費(令和6年度)
約20億円
市税は市民や企業が納めたお金。除雪費が多い年は、その2割に近い額が雪に消える計算になります。出典:米沢市 当初予算/米沢市議会 会議録

令和7年3月の市議会では、予算特別委員会からこういう意見が出ていました。

米沢市の財政は歳出超過と歳入不足の状態にあり、財政調整基金の取崩し額は、令和6年度36億円、 令和7年度38億円と増えている。これに除雪事業費8億円が加わり、令和6年度末の残高が約10億円まで 減少する見通しである。もし、令和7年度に災害が起これば、市の貯金は枯渇するおそれがある。

雪が多い年は、それだけで市の貯金がごっそり減ります。お金の全体像の話とつながるところです。

3|除雪しているのは、市の職員ではありません

これは僕が勘違いしていたところです。実際に除雪車を動かしているのは、民間の事業者です。

誰が除雪しているのか

数
委託業者38社
下請事業者19社
除雪オペレーター約360名
令和3年度の冬の体制。市がやるのは、路線の割り振りと、費用の負担と、苦情への対応です。出典:米沢市議会 会議録(令和4年6月定例会・建設部長答弁)

360人が、夜中から朝にかけて動いています。ここに気づいてから、 冬の朝に道が開いているのが、少し違って見えるようになりました。

4|雪が降らない年にも、お金がかかる

ここがいちばん面白かったところです。

令和5年度は雪が少ない年でした。除雪の出動が減ると、事業者の売上が減ります。 すると、機械も人も維持できなくなります。翌年に大雪が来たとき、動かせる体制がなくなってしまう。

そこで市は「除雪補償料」という仕組みを持っています。 雪が少なくても、体制を残しておくために支払うお金です。

令和5年度(少雪の年)の内訳

内訳金額
除排雪業務委託料(実際の作業)約3億1,103万円
除雪補償料(体制の維持)2億2,146万円
合計5億3,249万円
半分近くが「出動しなかったぶんの補償」でした。市は補償基準の回数を大きく下回る見込みだったため、1月・2月ぶんを前倒しで支出しています。出典:米沢市議会 会議録(令和6年6月定例会・建設部長答弁)

5|GPSを入れて、どうなったか

市は除雪車にGPSを載せて、作業時間にもとづいて精算するシステムを導入しました。 令和8年3月の市議会で、その効果が問われています。

システム導入の効果(市の答弁より)

観点どうなったか
市民からの苦情減少した
経費の削減令和6年度は大雪と導入初年度が重なり、効果を出せなかった
事務の負担不具合対応やデータ修正で、むしろ増えた
事業者からの声システム不具合、GPSエラー、回送時間の扱い、資金繰りへの影響
市自身が「経費の削減効果は明確に出ていない」と認めています。出典:米沢市議会 令和8年3月定例会 会議録(2026年3月2日)

建設部長はこう答弁しています。

令和6年度は除雪対策事業費が約20億円規模に達する大雪であったことに加え、システム導入初年度であったことや、 不具合対応やデータ修正作業が多く発生し、事務処理に要する時間が増加した

効果が出なかった理由を、市がきちんと説明しているのは良いことだと思います。 「苦情は減ったが経費は減らなかった」——どちらも事実として並んでいます。

6|同じ雪でも、立場によって見え方が違います

除雪をめぐる、いろんな立ち位置

どれも「そう感じる人がいる」という提示です。事実の主張ではありません。

  • 早朝に除雪車を動かしている事業者市の委託を受けている38社のうちの1社

    雪が降らない年がいちばん怖いです。仕事がないと、機械の整備代も出ないし、 オペレーターも他の仕事に移ってしまう。補償料は「もらえてありがたい」ではなくて、 「これがないと来年動けない」というお金です。

    GPSは、正直まだ慣れません。回送の時間をどう見るかとか、細かいところがまだ整っていない感じです。

  • 毎朝いちばん最後に除雪される通りの住民

    順番があるのは分かっています。ただ、毎年ここが最後なんです。 「文句を言うな」ではなくて、なぜこの順番なのかを一度説明してほしい、というだけなんですけど。

  • 市の財政を見ている立場

    除雪費は削れません。ただ、20億円の年が来ると、 財政調整基金がそのぶん減ります。 そこに災害が重なったときに何が残っているか、というのがいちばんの心配です。

  • 雪のない土地から移ってきた人

    最初の冬に「自分の家の前は自分で出すもの」と知って、けっこう驚きました。 全部を市がやってくれるものだと思っていたので。

    20億円と聞くと大きいですが、その内訳を見ると、納得できる部分も多かったです。

7|自分たちでやる仕組みもあります

市には「地域の支え合いによる除排雪事業」という補助金があります。 地域の団体が除雪機を動かすときの燃料費、スコップやヘルメットの購入、雪下ろし講習会などに、1団体あたり10万円を上限に補助が出ます。

令和元年度から3年間のモデル事業を経て、本格運用になったものです。 参加した団体からは「予定している経費はしっかり支援してほしい」「関係書類の作成に係る事務量が多い」 といった声も出ています。

除雪についてよく見かける言い方は、「まちの話題と、確かめたこと」にも整理しています。

この記事が見たもの出典 4 件。ここに書いた事実は、すべてこの資料から取っています
  1. 1.米沢市議会 令和8年3月定例会 会議録2026年3月2日の一般質問。除雪管理システムの効果についての質疑と建設部長の答弁、令和6年度の約20億円。
  2. 2.米沢市議会 会議録(令和4年6月・令和6年6月・令和7年3月定例会)委託業者38社・下請19社・オペレーター約360名、令和5年度の内訳(除雪補償料2億2,146万円ほか)、財政調整基金の取崩し見通し。
  3. 3.米沢市 除雪に関するページ除雪の路線区分や、地域の支え合いによる除排雪事業の案内。
  4. 4.米沢市 当初予算一般会計と市税の額。

リンク先は米沢市など、それぞれの発行元の公式ページです。 このノートの書き方に納得がいかないときほど、こちらを直接見てみてください。

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